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東京高等裁判所 平成5年(ネ)5237号 判決 1994年8月30日

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

二  控訴人は、被控訴人に対し、金五四四万五九八五円及びこれに対する平成元年一〇月三〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被控訴人のその余の請求を棄却する。

四  訴訟費用は、第一、第二審を通じてこれを三分し、その一を被控訴人の、その余を控訴人の負担とする。

五  この判決の第二項は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。

2  右部分に係る被控訴人の請求を棄却する。

3  訴訟費用は、第一、第二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

控訴棄却

第二事案の概要

次のとおり付加するほかは、原判決の事実及び理由の「第二 事案の概要」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。

原判決二枚目裏九行目の次に改行して次のとおり加える。

「控訴人は、右1のとおりである以上、本件事故と相当因果関係のある被控訴人の損害は○であり、そうでないとしても、被控訴人の受傷は一ないし二週間の治療により治癒すべきものであつたから、治療費、入院雑費、休業損害等は、この限度に限られるべきである、また、休業損害の算定に当たつては、被控訴人の休業の前後の収入を考慮すべきであり、その算定が困難であることに鑑みれば、同損害の算定は控え目にされるべきであるなどと主張する。」

第三争点に対する判断

次のとおり付加、訂正、削除するほかは、原判決の事実及び理由の「第三 判断」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決三枚目表八行目の「同方向に」の前に「時速約三五キロメートルで」を、同裏三行目の「被害車両」前に「加害車両のフロントフオークと前輪カバーがわずかながら曲がり、同カバーの先端には被害車両の塗膜がわずかに付着した。」を、同五行目の「また、」の次に「被害車両の」を、同一一行目の「一一」の次に「、一三」を加える。

二  同四枚目表七行目の「神経学的に」を「神経学的な」に、同裏六行目の「加わつた」を「加わり、頸部の運動障害も残存した」に改め、同七行目の「改善し、」の次に「頭痛、頸部の痛みをなおも訴えていたものの、」を、同九行目の「二回目」の前に「同年一一月二一日」を、同行目の「試験外泊を経て」の次に「同年一一月二七日」を加える。

三  同五枚目表一、二行目を次のとおり改める。

「被控訴人は、その後、通院により症状の改善に努め、同年一二月一〇日までは頸椎牽引を、同月一一日からは、右に加え、ホツトパツクを、平成二年三月三日から同年四月一四日まではレーザー治療を、その後は再び頸椎牽引、ホツトパツク及びレーザー治療から適宜選択した療法をそれぞれ受ける傍ら、頸椎又は肩の痛みに対し、鎮痛剤等の投与を受けていたが、同年五月一八日ころからは愁訴も殆どなくなり、同年六月九日を最後に通院を打ち切つた。」

四  同八行目の「頸椎捻挫」の前に「右鑑定書は、被害車両に生じた有効衝突速度を、同車両に生じたリアバンバーの破損・変形状態から、時速二キロメートルと推定し、これを前提とした自動車工学上の数式を用いて、被害車両が受けた衝撃加速度を推計しているところ、加害車両に生じた損傷の程度、ことに、フロントフオークがわずかにしても曲がり、走行において幾らかその影響が生じたことが認められること(乙六、一三)に鑑みると、右前提となる有効衝突速度の推定につき、疑義を生ずる余地がないとはいえない。他方、」を加える。

五  同裏一〇行目の「治療」の次に「が」を加え、同行目の「については、」から、同六枚目表一行目の「なされておらず、」までを削り、同裏二、三行目の「ことが認められるのであるから」を「と認めることにも必ずしも不合理な点はなく」に改める。

六  同七枚目表六行目から同裏四行目までを次のとおり改める。

「3 休業損害 二六三万〇〇七二円

被控訴人は、本件事故当時、朝日生命保険相互会社の外交員及び日動火災海上保険株式会社の代理店として、両社から収入及び報酬を得ていたが、本件事故により、右入院期間(二六日間)並びに平成元年一一月一日及び退院後の各通院日(合計八〇日間。なお、甲三〇によると、通院実日数は八一日とされているが、同年一〇月三〇日は、事故後稼働しているから、同日は含まれない。)に稼働することができず、その間の損害は、事故直前一年間(昭和六三年一一月分から平成元年一〇月分まで)の朝日生命保険相互会社の外交員としての収入八三三万四四四八円(一日当たり二万二八三四円。ただし、円未満切り捨て。)及び事故の直近である平成元年一月から同年一〇月までの三〇四日間の日動火災海上保険株式会社の損害保険代理報酬六〇万一六〇七円(一日当たり一九七八円。ただし、円未満切り捨て。)を基準に算定すると、二六三万〇〇七二円となる(甲二、三、六、七、八の1から12、右両社からの調査嘱託の回答書、被控訴人本人)。

(二万二八三四円+一九七八円)×一〇六日=二六三万〇〇七二円」

七  同八枚目表七行目の「六〇九万九六八七円」を「五四四万五九八五円」に改める。

第四結論

よつて、被控訴人の控訴人に対する請求は、主文第二項で認容した限度で理由があるから認容すべきであるが、その余は理由がないからこれを棄却すべきである。よつて、これと異なる原判決を右のとおり変更し、訴訟費用の負担につき、民訴法九六条、八九条、九二条を、仮執行宣言につき、同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 鈴木康之 三代川俊一郎 伊藤茂夫)

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